何個もグラブを持っているプロの選手の中にも一個のグラブを何年も使い続ける選手がいます。
彼らにとってそのグラブは自分の『手』であり、名手と呼ばれ選手はさらにその傾向が強くなります。
守備に対して人並み外れたこだわりを持っていた新庄剛志さんが、プロ入りから引退するまで同じグラブを使い続けたのは有名な話ですよね。
グラブは大切に手入れをしながら長く使うほど手になじみ、思い通りに動く『自分の手』になって いくもので、他人のグラブを借りた時には違和感がありますよね。
グラブの使い方は人それぞれにクセがあり、それによって型も様々です。
他人には使いづらいグラブも本人からしたら最高のグラブなのです。
それではどのような型付けがベストなのか
型付けをする側の自己満足では決して多くのユーザーに喜んでいただけないでしょう。
大事なことはユーザーが使う過程で自分の型に、自然にしかも短期間で『自分の手』に作りあげられる型付けではないかと考えています。
そのためにも、親指、小指の曲り、また革紐の締め具合などを注意しながら、なるべくクセのない型を心がけております。
また、あえて7割の柔らかさにとどめることで完全な自分の型に変わっていく余白を残すことになります。
手入れ感も大切
もう一つ大切なことがあります。それは手をグラブに入れた時の『手入れ感』です。
例えば、新しい靴を履いた時によく靴ズレを起こしますよね。
これは足の形と靴の形があっていない為で、段々と馴染んで形が合ってくることによって解消されます。実はグラブにも同じことがいえます。
新しいグラブの手入れ部にはまだ人の手の形ができていないので、靴ズレのような症状を起こすこともありますし、何と言ってもこれでは思うようにグラブは動いてくれません。
そこで型付けの際に程よいフィット感の手の形を作り上げます。
グラブは生き物
グラブは革。それは元々生命が宿っていたものです。手入れを欠かさず大事に育ててやってください。
そうすれば必ず、『自分の手』になってピンチの時もあなたを助けてくれます。
Pカバーと呼ばれるスパイクのつま先を保護するものはいくつかの種類があります。
縫いP、打ちP、近年では塗りPなども増えてきました。 昔の革底スパイクに代わり樹脂底埋め込み金具のスパイクが主流になってから縫いP加工が減ってきたような気がしますが、弊社ではできる限り縫いP 加工をしております。(構造上、縫いPができないスパイクもございます。)
それはなぜか。単純に軽くてカッコいいからです。それにカバーの内側に土が入ったりすることもありません。
スパイクのアッパーに革を貼り付けて底は手縫い、アッパー部はミシンで縫いこみます。 スパイク本体と一体化し、スマートでカッコいいPカバーになります。
縫いP加工も長年、想像を絶する数をこなしております。「 とにかくきれいにカッコよく」を心掛けております。
いろいろな可能性を模索し、弊社では2010年ごろから既製品のグラブへの刺繍加工を始めました。
自分の名前や、好きな言葉など刺繍を入れたいから高いオーダーグラブを作るというお客様も少なからずおられることを考え、既製品のグラブに後付けで刺繍ができないかと考え、専用の刺繍機を導入し、現在2代目の刺繍機を使っています。
バリエーションもすこしづつ増やしていき、重ね文字、シルエット文字等もできるようになりました。
グラブ以外でも、バッティンググラブや、バッグ等にも刺繍を入れることができます。